Ryukyu-indigo
琉球藍の魅力
琉球藍(リュウキュウアイ)とは、沖縄県を中心とした南西諸島で伝統的に栽培されてきた藍の一種で、藍染めの原料となる植物、またその染料や染色技術のことを指します。琉球藍は、沖縄の伝統と文化を象徴する貴重な資源で琉球の歴史を感じられる魅力を持ちます。
歴史:
琉球藍の栽培は、13~14世紀頃に東南アジアから沖縄に伝わったとされ15世紀の琉球王国時代から藍染め文化が栄えました。琉球王国時代には、王府の管理下で生産が奨励され、藍染めの布は重要な交易品として中国や東南アジアに輸出され「琉球ブルー」 として珍重されました。この時期に、琉球藍染めの技法が発展し、「紅型(びんがた)」などの染色技法にも活用されるようになり、18~19世紀(琉球王国末期)になると、「藍型染め(あいがたぞめ)」や「紅型染め(びんがたぞめ)」**といった独自の染色文化が確立されていきました。琉球処分により琉球王国が廃止され、王府による藍産業の管理がなくなったことで、藍染めの生産は減少。また、明治時代(19世紀後半)に入ると、安価な化学染料(インディゴ染料)が普及したことで天然の琉球藍の生産がさらに減少し、第二次世界大戦で多くの伝統技術が途絶えそうになりますが、近年では、「自然由来の染料」や「伝統工芸の復興」の動きが高まり、伝統的な技術を継承しながら、現代の感性を取り入れた新しい藍染め作品も生まれています。
植物としての特徴:
琉球藍は、耐寒性が弱いため、沖縄のような温暖な気候を好み、夏の強い日差しや湿気にも強い 植物です。琉球藍の葉には、藍染めの元となる「インディカン(indican)」という成分が含まれており、この成分が発酵・酸化すると、藍色の染料(インディゴ) に変化します。多年草であるため、一度植えると毎年新しい芽を出しどんどん広がって成長 するため繁殖しやすいという特徴があります。また、大きな葉を持ち、葉の量が多い植物であるため効率的に染料を作ることができます。
染料としての特徴:
琉球藍は一般的な藍染めよりも鮮やかで美しく深みのある青色が特徴です。染める回数や方法によって、様々な青色の濃淡を作り出すことが可能です。また、耐光性・耐水性に優れ、長く美しい色合いを保つことができます。沖縄の強い日差しにも負けない堅牢な色合いで、色落ちしにくいのも特徴です。そして、藍染めには昔から「抗菌・防虫・防臭・UVカット効果」があるとされ、沖縄の暑い気候に適しているとされています。
琉球藍染め製品のお手入れ方法
琉球藍染めの製品は、天然染料を使っているため 適切なお手入れが重要です。藍染めはデリケートな染め方のため、正しいお手入れ方法で、長く大切にご愛用ください。
初めての洗濯方法:
初めて洗濯する際は、必ず他の衣類とは分けて洗って下さい。特に、最初の数回の洗濯では藍色の色素がまだ定着していないことがあるため、色落ちが生じることがあります。最初のうちは 単独で手洗いを して、余分な染料を落として下さい。また、白い服やタオルと一緒に洗わないようして下さい。製品によっては、特定の洗濯方法やお手入れの指示がある場合がありますので、タグを必ず確認して下さい。
洗濯:
琉球藍染めの製品は、洗濯機ではなく 手洗い を推奨しています。水または30℃以下のぬるま湯を使用して洗濯し、生地を優しく押し洗いするようにして洗います。色あせの原因になるため生地を裏返して、蛍光増白剤や漂白剤入りの洗剤は使用せず、洗剤なし または 中性洗剤 を少量使って洗濯して下さい。
洗濯機を使用する場合は、洗濯ネットに単独で入れ、「おしゃれ着洗いコース」など、弱水流で洗い、柔軟剤や漂白剤は決して使用しないようにして下さい。
最後に、洗剤が残らないように、しっかりとすすいでください。軽く水分を切りますが、強く絞らないように注意して下さい。
乾燥:
直射日光に当てると、色あせの原因となるので、生地を裏返して日陰の風通しの良い場所で干してください。型崩れする場合があるため、ハンガーにかけて干すのではなく、平干しを推奨しています。乾燥機は縮みの原因となりますので使用しないでください。
アイロンがけ:
表面に直接アイロンをかけると、光沢がなくなったり、色落ちしたりすることがあります。生地を裏返して当て布を使用してアイロンの温度は低温でかけて下さい。
保管方法:
風通しの良く、直射日光の当たらない場所で保管して下さい。防虫剤使用する場合は化学物質で変色することがあるため、天然素材のものを使用して下さい。長期間保管される場合は、年に一度ほどアク抜きをして頂くことを推奨しております。80度以下のお湯につけ置き洗いをして頂くと、アクが取れ綺麗に保存することができます。
洗濯の注意点:
・色移りの可能性があるため、他の洗濯物とは分けて洗って下さい。
・色が抜けてしまうため、漂白剤・蛍光増白剤入り洗剤の使用はやめて下さい。
・長時間水につけ置きすると色落ちの原因となりますので、つけ置き洗いはやめて下さい。
・色あせの原因となるため直射日光での乾燥はやめて下さい。
・琉球藍染めは、使い込むほどに少しずつ色落ちし、独特の風合いが増していきます。経年変化も楽しみの一つとしてご了承下さい。
・天然染色のため、初めの数回のご着用時には肌移りしたり、他の生地(トップスやバック類など)い色移りする可能性もあります。それら防止のため、生地への色止めは行っていますが、天然染色の特性上予めこ了承ください。
色移りした藍の取り除き方:
藍染製品が色落ちし、他のアイテムに色移りしてしまった場合は、以下の手順で対処してください。
ぬるま湯に弱アルカリ性洗剤と漂白剤を混ぜて、色移りした衣類を30分~1時間つけ置きします。つけ置き後、色が落ちていることを確認し、十分にすすぎ洗いします。最後に、通常の洗濯方法で洗って完了です。